当初、この「弁護士の一言」という項目のなかで、色々考えていることを書こうと思っていたのですが、全然更新されておらず、どうなっているんだ、と言われることがあります。これは「motoの雑感」という項目があり、そちらに書くことが、多いので、こちらは更新していない、というのが実情です。
それで、今後もこちらは、あまり更新はしないかもしれませんが、今日は久し振りに、弁護士の広告について書いてみます。
弁護士の広告は、内容について規制はありますが、現在は解禁されています。私が弁護士になったころは、広告はできませんしたが、今は、テレビ、ラジオ等色んなメディアで弁護士の広告がなされています。私の事務所にも最近は、色んな業者から、ダイレクトメール、FAX、電話が掛かってきます。
特に、最近、目につくのは、過払い関係の広告です。
東京から熊本に来て、相談に応じるというものもありますが、テレビの広告料とか旅費等経費とかを含めると費用だけでも相当掛かるのでは、とも考えたりしていたのですが、最近、弁護士の広告関係の委託を受けている会社が脱税したということで国税庁が告発したとのニュースがありました。高額の脱税額でしたので、売上が相当の額になる筈ですし、そうすると、かなりの数の弁護士が委託していることになります。
弁護士を知らない方にとっては、情報を発信してくれるので、有益な面もあると思いますが、弁護士業務は日々勉強ですので、私としては、業者からの誘いにのらず、仕事をしていきたいと考えています。
私は、熊本大学法曹養成研究科に勤務しており、そこで教授として民事系の実務や法律を教えてます。同研究科では、地域貢献ということで、各地で無料法律相談会を開催しています。今年の3月は、人吉、牛深、健軍で行い、私も弁護士として相談担当者として出ました。日時は土曜日・日曜日が多いので、この相談会だけで休日がつぶれたわけではないですが、3月は休日もない状況でした。牛深は車で片道3時間程度はかかりますので、一人で車を運転していくと結構疲れます。
ただ、無料相談会ということがあるかもしれませんが、相談件数は結構あります。相談者には、アンケートを書いて貰っているのですが、そのなかには、もっと早く相談すればよかったが、なかなか弁護士に相談しづらかったから、という意見もあり、また、弁護士増員については、相談が容易にできるようになり、増員するのはいいことだ、とかの意見があります。相談件数が結構あることや、アンケートの内容からは、弁護士に対するニーズは結構あるものの、相談には行かない(行けない)色んな障害事由がまだまだあるようです。弁護士は少しでも、敷居を低くして、相談して貰うようにしなければならないし、そうするには、どうしたらいいか、と考えつつ、眠気を我慢しながら、牛深から熊本に帰ったというところでした。
NHKの受信料について
NHKは広告収入がありません。それで、NHKは受信料収入によって経営を維持していくことになるのですが近年、NHKは受信料を支払わない者に対して、法的手続きをとったりしています。NHKの法的根拠は、放送法において「NHKの放送を受信することのできる受信設備を設置した者は受信契約を締結しなければならない」とされていることから、これを根拠としています。
これに対し、放送法において「受信契約を締結しなければならない」としているのは、憲法の保障する思想・良心の自由に違反するということで争われた裁判もあります。また、ホテルや病院等テレビを相当数設置しているところは、一台毎に受信料が発生することになりますと、相当の金額になりますが、同時にすべて稼動しているわけでもないので(特にホテルは稼働率が100lということはない。)財産権の保障という見地からも問題になりますが、ここは、それらの議論をおいといて受信料の時効について考えてみましょう。
受信契約を締結しますと受信料の支払義務が発生します。消滅時効にかかるとして、それは何年か、ということです。これについては見解の差異があります。1年又は2年の短期消滅時効も考えられますが、裁判では、いずれも否定されています。裁判では、定期金債権の支分権ということで民法169条に基づき5年というのが主流のようです。これに対し、NHK側は10年であると主張しています。旭川地裁成24年1月31日判決の事案では、NHK側は著名な民法学者の意見書を提出して、民法169条(時効期間5年)の適用はないと主張しました。このなかで「民法168条の適用がない場合には(受信料債権は定期金債権ではないから)、民法169条の適用がない」とする考えも論じていましたが、判決では学者の論理はいささか飛躍していると判断し、民法169条の適用があり5年と判示したものです。一流の学者の考えを「いささかでも論理が飛躍している」など、私なら、とても書けませんが(記載するとしたら、そのような考えもあり得るが・・・の理由からとりえない、ということでしょうか。)、裁判所は、すごいものです。
受信料債権が、短期に消滅するのは、ごね得を許すことになり相当でないとする価値判断もあるようですが、5年というのが裁判所の流れになっているようです。世の中には、NHKを見ないという人もいるようですが、法的には支払義務を免れるのはなかなか難しいようです。そうであれば、良質な放送の提供を期待しましょう。
ペットは法律的には物とされてます。しかし、近年、犬を室内で飼っている方が多くなり、そのような方は、ペットはまさに家族の一員ですし、「物」と考えることはなかなできないでしょう。私も現在2匹(ミニチュアダックスフンド)を室内で飼育しています。そうすると、もう家族といって代わらないほどであり、特に健康状態については、犬は自分で訴えないことから家族以上に気をつかっています。一匹の犬は、すぐに私に膝枕とかだっこを迫ります。そうするとスキンシップにより、よりワンちゃんの健康状態が把握できますし、人間なら翌日とか延ばすことがあっても、当日、病院に連れて行くことも時々あります。
それで、心配なのは、ワンちゃんは愁訴を自分で伝えられないので医療ミスです。人間の場合は医療過誤事故として裁判になりますが、動物の場合はあまり裁判までなることは少ないようです。これは、そこまでして、ということもあると思われ、泣き寝入りになっているものもあるかと思いますが、それでも全国的には相当の裁判数があり、治療費のみならず慰謝料も認められているケースもあります。
「物」については、一般的に慰謝料は認められないですが、「ペット」の場合は裁判上は人間と同じように「慰謝料」が認められておりますので、そういうことでペットは単なる「物」ではないということになります。ただ、額的には数十万円程度の慰謝料が多いようです。
いずれにしても、犬はしゃべりませんから、飼い主のほうが健康に注意して、いつまでも元気で仲良く過ごしたいものです。
プロフィール欄に趣味「読書」としておりますが、子どものころは、親戚が遊びに来ても本ばかり読んでおり、ろくろく挨拶もしなかったということで文句を言われたこともあった程です。しかし、最近は仕事が忙しいということもあるのか、その意欲が薄れたのか、仕事以外の本はあまり読まなくなっていました。
ジャンルとしては、特にこだわってはいませんが、10年以上前ころから、宇宙論に関する本を結構読んだりし、車いすの学者として有名ですが、ホーキングの本も読んだりしていました。文系ですので専門的なことは分かりませんが、なんとなく分かったつもりで1人空想にひたっていたものです。
それで、前記のように読書とご無沙汰していまいたので宇宙論の本も読んでいなかったのですが、最近、また宇宙に関する本を何冊か読んだところ、ここ10数年間程ですごい変化があったようです。
そのなかでも宇宙が加速度的に膨張をし続けていることが分かり、それにはダークエネルギーが関与しているとか、また、ダークマターとかの物質があり、それらはまだ解明されていないということで、宇宙の謎が逆に増えていっているようです。また、ビッグバン理論にも修正が加えられたりしているようです。
そのなかでヒッグス粒子という素粒子が現在の宇宙の生成について重要な役割を果たしたと考えられているが、まだ確認はされていないというような記述がありましたが、先日、それが確認されたということで世界的に話題になりました。私もとても感動しました。
宇宙が将来どうなっていくのかについても、諸説があるようですが、いずれにしてもそれ以前に太陽自体も存在しなくなるようですから、人間が何時まで存在できるかも考えさせられます。
このようなことを考えると日々のストレスも解消されるようです。
最近は当事者の合意内容をきちんと書面で確認しておくことの重要性は理解されている方は結構多いのですが、その合意内容を書面にしたものを弁護士に確認して貰ってから最終的な書面を作成する、ということは顧問弁護士を依頼していない限り、まだまだ少ないようです。
また、ちょっとした書面だからとか定型的な書面だからと簡単に考えて署名・押印することも多く、その後、解釈が違うとか、合意内容が記載されていないとかのことで、紛争が生じてから相談に来られることもよくあります。
弁護士は紛争が生じてから依頼するものと考えられているということではないようですが、簡易な書面であるとか、定型的な書面だからということで、弁護士が関与せずに書面を作成することが多いようで、その意味で、日本ではまだまだ弁護士が紛争発生前に、紛争を予防するという立場で関わることが少なく、現実に紛争が起きてから関わるということが多い、という印象をもっています。
しかし、事後的に紛争を解決できても、それは決して生産的なものではありません。ストレスを感じながら費用を掛けて紛争を解決したということにならざるを得ないことも多いと思います(勿論、解決によるメリットはありますが)。
それよりも、紛争ができるだけ発生しないような書面、例えば、合意内容に曖昧なところを残さず、きちんと定めておくべき必要な部分は漏れていない、ような書面を作成し、事後の紛争を予防することが重要です。
そのような意味で、日本では、まだまだ弁護士へは紛争が発生してから依頼するという考え方が多いようですが、弁護士は専門的知識をもってきちんとした書面を作成できる筈ですから、現時点で紛争がなくとも、将来できるだけ問題が発生するような書面で契約を締結しないように弁護士に依頼し、「弁護士はそのような仕事もしている」という認識をもっと持ってもらえたら、と考えています。